秒速5センチメートルの話
秒速5センチメートルの話がしたいと、ずっと思っていました。
といっても、考察なんて高尚なものではなく、ここにこれが写っていますよ、という報告(?)です。
冒頭から順を追って…どうぞ…よろしくお願いします…。
◉ 第一話 桜花抄
春のシーンだけど水面に反射している桜の木は冬。
なので、回想かなにか(少なくとも現実ではなさそう)だということがわかる。
水面に映っているのは主人公の心情か、それとも回想している今の時間軸が冬ということか、みたいな。
水面に何かが落ちて波紋が…というのも、物語の始まりとしてはよくある手法。
こちら、秒速5センチメートルとは関係ないですがカードキャプターさくらのOPの冒頭シーンです。
2人を隔てる境界線としての踏切。
電車に大きく映る、バツマーク。
(ねえ、このペースでやってたら何時間かかると思う…?)
国語の教科書に書かれているのは「竹取物語」。
マーカーが引かれているのは「かぐや姫」と「大納言大伴御行」。
大納言大伴御行は、家臣を集めて竜の頸の珠を取って来るよう命じた人。
(NOMO消しゴムは、後ほどMOMO消しゴムとして再登場します。)
矩形に並べられた机の、内側に座る貴樹くん。
女性との間に窓の枠。
こういう境界線の描写はたくさんあります。
(ちなみに、下の階の椅子?がなんかめちゃくちゃデカい。)
電車で書いてるにしては、めちゃ字がきれいな明里さん。
これっきりボタンがついている、HITACHIの洗濯機。
confessionは自白の意味。
アルルの女におけるアリアは「フェデリコの嘆き」だけど、歌詞が、こう、あまり幸せな感じではない…。
歌詞は↓こんな感じ。
『Il lamento di Federico(フェデリコの嘆き)』の解説(歌詞・対訳)
道路に大きく映る、バツマーク。
こういうバツマークの描写はたくさんあります。
明里さんの好きなハルキゲニアはラテン語のhallucinatioに由来。
「夢想」の意味。
影との戦い、空とぶ庭、カスピアン王子のつのぶえ。
「小山冬まつり」なるお祭りは存在しない。
中学生には遠い距離、高い電車賃、遅延、空腹、寒さ、2週間かけて書いた手紙の紛失、貴樹くんはもう限界…。
手のひらを開く明里さんと握りしめる貴樹くんが対照的なシーン。
明里さんと貴樹くんの行く先が分かれる。
電車の中に隔絶される貴樹くん。
貴樹くんは何らかの内側にいる描写が多い、気がする。
◉ 第二話 コスモナウト
いつも同じのを選んでしまう貴樹くん。
貴樹くんと花苗さんは、目線が合わない。
透かしブロックを上下に並べて片方ひっくり返すとおしゃれ!という、街でよく見かけるやつ。
(透かしブロックを連続して並べるのは、あまり、よろしくは、ない…。)
貴樹くんの表情が死んでるのは…多分、↓の記憶を引っ張ってきてしまうから。
犬と猫というのもまた、なんというか…という感じ…。
時速5キロメートルという言葉から、波紋が。
同じものを選んでも、やっぱり目線は合わない。
ロケットが打ちあがり、明暗が分かれる。
あいまいだった貴樹くんと花苗さんの関係が進展するきっかけに。
月を分断する電線。
◉ 第三話 秒速5センチメートル
明里さんが読んでいるのは、夏目漱石の「こころ」。
雇用保険被保険者離職証明書。
この時点で退職が決まっているっぽい。
貴樹くんと別れ、水野さんの席が空いた。
明里さんが手紙を出さなかったことで文通が途絶えた?
草の竪琴。
花苗さんと貴樹くんの隔絶。
やることはやってる。
明里さんが渡さなかった手紙には、明確に「好きです。」と書いてある。
冒頭シーンのリフレイン。
2人を隔てる境界線としての踏切。
冒頭と異なるのは、貴樹くんが線路の向こう側にいること。
◉ 所感など
何回見ても思うけど、水野さんがいい人すぎるので幸せになってほしい。
新海さんは境界線の描写とか明暗を分けて光があたる人とあたらない人を分けて描くとか左に進む右に進むとかそういう演出を好んでやるイメージがあったけど、近年はそこまで露骨じゃないような気もするな(?)と、思って、いる…。
少なくとも秒速5センチメートルのなかではそういった描写がメチャクチャあるので、色々なものが境界線に見えたりバツマークに見えたり、今飛び立った3羽の鳥って???とか赤信号ばっかだなとか深読みしてしまったり、どこまでが演出で、どこからが意味のないものなのか、分からない…わたしには…なにも…。